【2025】IR資料の作成方法を10のステップに分けて解説|企業価値を高めるIR資料とは

IR資料は、企業が投資家や市場に向けて自社の価値や将来性を伝えるための重要なコミュニケーションツールです。近年、投資家の情報要求は高度化し、多様化しており、単なる法定開示だけではなく、戦略的な開示資料の作成が求められています。
特に上場企業や上場準備企業のIR担当者、経営企画・広報部門の担当者、さらに初めてIR資料を作成するスタートアップの経営層にとって、質の高い資料は企業評価に直結する重要な資産となります。今回は、IR資料の概要から種類、作成の方法、外注のメリットや選び方、そして実際の制作プロセスまでを詳しく解説し、企業価値向上に役立つIR資料作成のポイントを紹介します。
IR資料の概要
IR資料は、企業が投資家に対して、自社の状況や将来性を正確に伝えるための重要なコミュニケーションツールです。近年の投資ブームや国際化などで、投資家の情報要求は高度化・多様化しており、IR資料の質が企業評価や株価に直接影響するケースが増えています。
従来は法定開示を中心とした情報提供が主流でしたが、昨今では戦略的に企業価値を伝える「戦略的開示」の重要性が高まっています。特に、東京証券取引所の市場改革により、資本コストや株価を意識した経営開示の必要性が高まり、企業は単に法令を守るだけでなく、投資家が投資判断を行いやすい情報提供を行うことが求められています。
IR資料の目的は、企業の現状や業績を伝えるだけでなく、中長期的な成長戦略やリスク管理、経営方針を投資家に理解してもらうことです。適切なIR資料を提供することで、企業の透明性や信頼性が高まり、株価や資金調達コストへのポジティブな影響が期待できます。
加えて、非財務情報の開示が投資家の意思決定に不可欠となっており、ESGや人的資本、サステナビリティに関する情報開示は企業価値を正しく伝える上で重要な要素です。
開示資料の充実が株価向上に影響する
東京証券取引所の調査によると、資本コストや株価を意識した開示を行う企業は、そうでない企業に比べて株価が長期的にアウトパフォームする傾向があります。特に透明性が高く、投資家にとって理解しやすいIR資料を提供する企業は、投資家からの信頼を獲得しやすく、長期的な株価安定や資金調達コストの低減につながります。

実際に、IR資料を改善した企業では、発表後の株価が一時的に上昇するケースや、機関投資家からの引き合いが増加するケースが報告されています。
企業がIR資料を通じて伝えるべき情報は、財務情報だけでなく、事業戦略、マーケット環境、競合比較、リスク管理、将来の見通しなど多岐にわたります。これらを包括的に整理し、投資家が理解しやすい形で提示することが、企業価値向上に直結します。
たとえば、企業の成長戦略を「市場環境→競争優位性→具体的施策→成果予測」という流れで示すと、投資家は企業の将来性を短時間で理解でき、意思決定を行いやすくなります。このように、戦略的な情報整理は株価や企業評価に直接的な影響を与える重要な手段です。
法定開示から戦略的開示へ変わる重要性
上場企業数は4,000社を超え、発行体の増加と情報量の増大により、IR情報は氾濫状態になっています。この状況下で投資家に適切に情報を伝えるためには、単なる法令遵守だけでは不十分であり、戦略的に自社の魅力を伝える開示が必要です。成長可能性資料、中期経営計画、サステナビリティ、人的資本など多岐にわたる情報を整理し、投資家にわかりやすく提示することが求められます。

決算説明資料1つをとっても、数十ページに及ぶことがあります。そのため、投資家が理解しやすい資料にするには、情報を整理して重点を絞り、視覚的に訴求する工夫が必要です。単なる数字の羅列ではなく、企業の成長戦略や強みを明確に示すストーリー性のある資料が重要です。
戦略的開示は株主だけでなく、取引先や金融機関、潜在的な投資家へのアピールにもつながり、企業価値向上に直結します。また、投資家ニーズに応じた情報提供も重要です。海外投資家向けには英語版資料の提供、ESGに関心の高い投資家にはサステナビリティ情報の充実など、対象者に合わせた情報整理が企業の評価向上につながります。
そのため、「シンプルでわかりやすく、パワフルに自社の魅力を伝える」ことがIR資料作成における最大の課題となっています。特に、初めてIR資料を作成する企業や上場準備中の企業にとっては、何を重点的に伝えるべきかを明確にすることが重要です。限られた時間で投資家に理解してもらうためには、情報の取捨選択やビジュアル表現、ストーリー構成の工夫が不可欠です。
資料の質の重要性
IR資料の質は、企業評価や投資判断に直結します。資料の見やすさやわかりやすさが投資判断に影響するだけでなく、戦略性や企業の強みを効果的に伝えることで評価が向上します。
また、誤解や疑念を生まない正確な情報発信は投資家の信頼獲得に欠かせません。情報の正確性や整合性が欠けると、投資家は企業の信頼性に疑問を抱き、株価や資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。
見やすさを向上させるには、図解やグラフ、箇条書きでの整理、カラーコードの活用が有効です。また、投資家の関心を引くストーリーラインを設定することも重要です。
たとえば、企業の成長戦略を「現状分析→競争優位性→施策→成果予測」という順で整理すると、投資家は企業の方向性を理解しやすくなります。こうした工夫により、資料の質は大幅に向上し、投資家に与える印象も良くなります。
IR資料の種類と役割
IR資料には、決算説明資料や統合報告書、株主通信、招集通知など多様な種類があり、それぞれ目的や対象読者、発行頻度が異なります。近年では、非財務情報の開示が重要視されている傾向もあります。ここでは、IR資料の種類とそれぞれの役割について解説します。
- 決算説明資料
- 適時開示資料(任意開示)
- 統合報告書
- 株主通信
決算説明資料
決算説明資料は、四半期や年度ごとの業績をわかりやすく説明し、財務数値だけでなく経営戦略や市場動向も盛り込むことが求められます。任意開示資料の中で最も重要性が高く、投資家やアナリストに透明性の高い情報を提供できます。
適時開示資料(任意開示)
適時開示資料は法定開示ではありませんが、PR要素や法定開示の補足として作成されます。開示対象事項をシンプルにわかりやすく説明し、図解やグラフなどを用いて視覚的に訴えることで投資家に理解されやすい資料に仕上げます。また、投資家、アナリストが知りたいであろう項目を盛り込むことも重要です。
統合報告書
統合報告書は、ESGや持続可能性に関する取り組みを詳細に開示し、企業価値創造のプロセスや中長期的な経営方針、リスクマネジメントを伝える重要な資料です。これにより、財務諸表では見えない企業の戦略などを株主に提示し、株価以外の企業価値の見える化を促進させます。
株主通信
株主通信は法的要件を満たしつつ、配当方針や株主総会議案などをわかりやすく説明し、株主の理解促進と関係強化を目的としています。株主へ定期的に企業情報を提供することで、信頼関係の構築にも貢献します。
IR資料作成の方法・流れ
続いて、IR資料を効果的に作成するために、当社FiNX株式会社が採用しているプロセスについて解説します。各ステップでのポイントや注意点をお伝えします。
- 事前リサーチ
- 経営層や事業部門とのディスカッション
- ストーリーラインと目次案の策定
- デザイン、レイアウト等の初期提案
- スケルトンスライド作成
- ドラフト作成とディスカッション
- 決算数値の反映と方向性確認
- スライド精度の向上
- 最終化
- 発表原稿の作成
1. 事前リサーチ
IR資料作成は、まず事前リサーチから始まります。四季報オンラインや公開資料を用いて、時価総額、出来高、ROE、PBR、配当利回り、成長性などを分析し、主な投資家層を設定します。
既存の決算説明資料や統合報告書を確認し、ストーリー性や数値の整合性、改善ポイントを整理します。ユニバース比較で強みや弱みを特定し、成長ストーリーか還元ストーリーかなど方向性の仮設定も行います。
2. 経営層や事業部門とのディスカッション
経営層や事業部門とのディスカッションでは、リサーチ結果をもとにストーリーラインの選択と強調を決定します。ビジネスモデルや競争優位性についてヒアリングし、キーポイントとなる改善余地や訴求軸を調整します。
3. ストーリーラインと目次案の策定
続いて、次のように大枠を設計し、キーメッセージを軸にした目次案を提示します。
- 序盤(現状と市場環境)
- 中盤(成長戦略・還元方針)
- 結論(将来の展望)
初期段階では文字ベースの案となり、意見は限定的ですが、大枠の方向性を確認します。
4. デザイン、レイアウト等の初期提案
デザイン、レイアウト等の初期提案では、ブランドカラー、フォント、レイアウト方針を確認し、ベースデザイン案を提示します。
5. スケルトンスライド作成
スケルトンスライド作成では、目次案に基づき各スライドで伝えるメッセージを整理し、参考となる他社サンプルを調査して図解の方向性を示します。全体像を「骨格」として示すことで、経営層や関係者とのディスカッションのベースを作ります。
6. ドラフト作成とディスカッション
ドラフト作成とディスカッションでは、スケルトンをもとにスライドを具体化し、パートごとに精度を高めながら進行します。また、経営層や関係者と随時ディスカッションし、方向性を調整します。
7. 決算数値の反映と方向性確認
決算数字の反映と方向性確認では、決算発表の見込みを確認し、必要なデータをドラフトに反映させます。数字とストーリーの整合性を確認することで、信頼性の高い資料を作成できます。
8. スライド精度の向上
スライド精度の向上では、完成度の高いドラフトを基に細部のブラッシュアップを実施し、「一目で伝わる」レベルを目標に改善サイクルを重ねます。
9. 最終化
最終化では、決算データの最終数値を反映し、全体ストーリーとの整合性を確認します。必要に応じてキーメッセージやストーリーを再調整し、全体の読み合わせを行い、最終アウトプットとして整理します。
10. 発表原稿の作成
発表原稿の作成では、説明会等で経営陣が使用する原稿を作成し、資料と原稿の両輪で完成度の高いIR発信を実現します。
IR資料作成における重要なポイント
IR資料を作成する際には、デザインの統一、海外投資家への理解促進、資料の整合性が重要です。ここでは、IR資料作成における主な重要ポイントを解説します。
- 企業のブランドイメージに沿った統一感あるデザインであること
- 多言語対応しており海外投資家の理解も促進できること
- 誤字脱字がなく整合性がとれていること
企業のブランドイメージに沿った統一感あるデザインであること
まず、企業のブランドイメージに沿った統一感あるデザインであることは、投資家に「この会社は整っている、信頼できる」という印象を与える効果があります。
フォントや配色、図表の統一により資料全体のプロ感が高まり、企業価値の訴求力を高めることができます。特に、複数の資料が存在する場合、一貫性のあるデザインは企業の信頼性を示す重要な要素です。
多言語対応しており海外投資家の理解も促進できること
次に、多言語対応を行うことで、海外投資家への理解も促進できます。
海外投資家は成長資金や市場評価に直結する重要なステークホルダーです。そのため、英語や他言語での資料提供により、IR資料の理解度を高め、投資判断のハードルを下げることができます。
また、多言語対応は企業の国際的な信頼性・存在感を示す手段にもなり、海外投資家からの資金調達や関心獲得に非常に有効です。
誤字脱字がなく整合性がとれていること
さらに、誤字脱字がなく整合性が取れていることも非常に重要です。
誤記や数値の不一致は投資家の信頼を失い、株価や企業評価に悪影響を与える可能性があります。最悪の場合、不正と見られ罰せられる危険性もあります。
そのため、誤字脱字がなく、整合性の取れた資料は、企業の信頼性やガバナンスの健全性を示すものとなり、投資家に安心感を与えます。資料の正確性は、企業の評価を維持・向上させるための基本的な条件です。
IR資料作成時の課題と内製における限界
多くの企業では、IR資料の作成において構成やメッセージが不明瞭で、株主視点が不足していることが課題となっています。また、デザインの統一が欠けている場合も多く、社内リソース不足により作業負担が増大してしまうことも少なくありません。
専門知識の不足は、説得力の弱い資料につながるため、投資家に与える印象に影響します。ここでは、IR資料作成時の課題と、内製における限界について解説します。
- 資料の伝わりにくさを生む構成
- デザイン・表現面の統一感の欠如
- 社内リソース不足による作業負担の増大
資料の伝わりにくさを生む構成
資料の伝わりにくさは、情報過多や論理の飛躍、因果関係の不明瞭さから生じます。最悪の場合、投資家に誤った情報を認識させてしまうこともあります。投資家が重要なポイントを把握できず、意思決定に迷いが生じるケースもあります。
デザイン・表現面の統一感の欠如
デザイン・表現面の統一感の欠如も課題の一つです。フォントや配色のバラつき、図表形式の不統一、ブランドイメージと乖離したデザインは、資料全体の印象を散漫にしてしまいます。
社内リソース不足による作業負担の増大
社内リソース不足による作業負担の増大も問題です。
IR担当者が兼任で作業を行う場合、時間的制約が大きく、専門的な知識やノウハウが不足することにより、資料の精度が低下します。決算期や緊急修正、役員チェックのタイミングでは作業が長期化し、結果的に他の業務に支障が出ることもあります。
IR資料作成を外注するメリット
IR資料作成を外注することで、専門家の視点によるクオリティ向上と効率化が期待できます。外注を活用することで、単なる資料更新作業から解放され、企業は「何を伝えるべきか」「何を伝えたいのか」といった本質的なポイントに集中してディスカッションを進められるため、メッセージ性がより明確になります。
単なる資料の更新作業から解放され、本質的なポイントにフォーカスしてディスカッションを進めやすくなり、メッセージ性がシャープになることが期待できます。ここでは、IR資料作成を外注することで得られる主なメリットを解説します。
- 投資家目線の第三者視点で資料を作成できる
- 内製では難しい高度なデザインや表現を実現できる
- 担当者の負担軽減により本来の業務に集中できる
投資家目線の第三者視点で資料を作成できる
外部専門家は、経営側とは異なる中立的で客観的な視点を持っており、投資家が知りたい情報や企業の魅力を的確に整理できます。そのため、投資判断に直結する情報をわかりやすく構成し、説得力の高い資料を作成可能です。
内製では難しい高度なデザインや表現を実現できる
IR資料作成を外注することで、内製では難しい高度なデザインや表現も実現できます。グラフや写真加工、洗練されたレイアウトなど専門スキルを活かした資料作成は、企業ブランドを引き立てる効果があります。
担当者の負担軽減により本来の業務に集中できる
担当者の負担も軽減され、本来の業務に集中できる点も大きなメリットです。
社内担当者は戦略立案や経営判断にリソースを振り向けることができ、繁忙期の決算対応やIRイベント準備期間でも十分な時間を確保できます。外注により、作業効率化と質の向上が同時に実現されます。
IR資料作成の外注の選び方のポイント
IR資料作成の外注先を選ぶ際には、業種や企業規模別の実績が豊富にあることが重要です。ここでは、IR資料作成の外注を選定する際に確認したいポイントを解説します。
- 業種、規模別の実績が豊富にある
- 決算資料のみならず統合報告書や翻訳にも対応できる
- 納期や追加修正に柔軟に対応できる
業種、規模別の実績が豊富にある
同業界・同規模での制作実績があれば、業界特有の用語や市場背景を理解した資料作成が可能となります。同業他社との違いを明確にしたIR資料はステークホルダーも大変読みやすい資料になる可能性が高いです。
決算資料のみならず統合報告書や翻訳にも対応できる
決算資料のみならず、統合報告書や翻訳にも対応できるかを確認することも重要です。IR資料は多岐にわたるため、一括依頼によるスケジュール短縮や品質統一が期待できます。
納期や追加修正に柔軟に対応できる
納期や追加修正に柔軟に対応できる体制であることも重要なポイントです。決算内容や経営方針の変更に応じて、迅速に修正や調整を行える外注先は、信頼性が高く、企業にとって安心です。
IR資料作成ならFiNXにお任せください
当社FiNX株式会社はIR資料作成を専門とする企業であり、企画構成からデザイン・翻訳まで一括で対応可能です。豊富な実績とサポート体制により、上場企業から中小企業まで幅広く対応し、企業の魅力を最大限に引き出す資料作成を実現します。最後に、FiNXの概要と、特長を紹介します。
FiNXの概要
FiNXは、投資家目線での客観的なアドバイスをベースに、企業のIR戦略立案から実行支援、資料制作までを包括的に扱っています。
FiNXのIR資料作成の特長
特に、 FiNXの主な強みは次の3点です。企画構成から翻訳、デザインまでワンストップで提供することが可能です。
- 企画構成から翻訳、デザインまで一括対応可能
- 多様な業種・企業規模における豊富な実績
- 無料相談から始められる安心のサポート体制
企画構成から翻訳、デザインまで一括対応可能
戦略立案から多言語翻訳、デザインまで一元管理することで、納期短縮と品質の統一を可能にしています。
多様な業種・企業規模における豊富な実績
上場企業から中小企業まで幅広い実績を持ち、業種特有の情報整理やデザイン事例を活かした提案力を提供できます。
無料相談から始められる安心のサポート体制
無料相談も可能で、初回相談や見積もりも無料です。要件整理から提案まで丁寧に対応し、スケジュールや費用も明確化することも可能です。
まとめ
IR資料は、企業の魅力や将来性を投資家に正しく伝えるための重要なツールです。高品質なIR資料を作成するには、投資家視点・正確性・デザイン統一・多言語対応など複数の要素が必要です。内製では限界がある場合も多く、外注を活用することでクオリティ向上、作業効率化、担当者負担の軽減が期待できます。
外注先を選ぶ際は、実績・対応範囲・柔軟性を重視することが重要です。プロによるIR資料作成においては、経営戦略の把握からストーリー設計、優先順位付け、デザイン・翻訳まで一貫して実施してもらえます。適切なパートナーを選ぶことで、企業の価値を最大限に引き出すIR資料の作成が可能です。
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