IR担当者のための急騰株分析【2026年1月】1ヶ月で2倍になった8銘柄の要因を全調査

IR担当者のための急騰株分析【2026年1月】

1ヶ月で2倍になった8銘柄の要因を全調査

執筆:後藤敏仁(FiNX株式会社 代表取締役)
公開日:2026年2月


本調査について

FiNXでは、時価総額1,000億円未満の銘柄を対象に、毎月、指定の期間(1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月)で株価が2倍以上に成長した銘柄のデータをリサーチしています。

本調査の目的は以下の2点です。

  1. 企業価値向上に優位な経営戦略の研究 ― 株価が大きく上昇した企業に共通する事業戦略・資本政策・開示姿勢を分析し、中小型企業の経営に資する知見を蓄積すること
  2. IR施策の研究 ― 市場がどのような情報発信に反応するのかを検証し、効果的なIRコミュニケーションのあり方を探ること

本レポートは、2026年1月の1ヶ月間で株価が2倍以上となった8銘柄を対象とした調査結果です。


エグゼクティブサマリー

2026年1月の1ヶ月間で株価が2倍以上に上昇した日本株8銘柄について、株価上昇要因となるニュース・口コミ情報を網羅的に調査しました。最大上昇率は日本精密の225.28%で、8銘柄すべてが106%以上の上昇を記録しています。

主要な上昇要因は以下の3つに大別されます。

  1. 地政学リスクとレアアース関連テーマ(5銘柄)― 中国の対日輸出規制強化と国産レアアース開発への期待
  2. 需給主導の急騰(4銘柄)― 小型株・低位株への短期資金集中と信用規制発動
  3. 具体的な事業契約・技術開発(3銘柄)― 国家プロジェクト参画、防衛省契約、海外販売契約

調査の結果、業績の大幅な上方修正を伴わない「テーマ性」と「需給要因」が株価急騰の主因であり、投資家は今後の反動安リスクと信用規制の影響に留意する必要があることが明らかになりました。


1. 調査対象銘柄の概要

銘柄名証券コード1ヶ月騰落率時価総額主要テーマ
日本精密7771225.28%65億円需給主導・信用規制
岡本硝子7746164.60%285億円レアアース・国家PJ
窪田製薬4596130.95%111億円ARデバイス・中国展開
VALUENEX4422124.11%34億円防衛省契約・株式分割
中村超硬6166120.52%65億円レアアース・ゼオライト
ケミプロ化成4960120.34%129億円全固体電池・需給主導
ユニチカ3103117.65%363億円クアルコム思惑・半導体材料
第一稀元素4082106.20%568億円レアアース・輸出規制

共通特性

  • 時価総額は34億円〜568億円と小型・中小型株が中心です
  • 7銘柄が複数回のストップ高を記録しました
  • 出来高が通常の10倍〜30倍に急増しています
  • PERが極端に高いか赤字企業も含まれ、バリュエーションより材料重視の展開となりました

2. 銘柄別の詳細分析

2.1 日本精密(7771)― 225.28%上昇

上昇要因の核心:典型的な需給主導の急騰

日本精密の株価急騰は、業績材料ではなく小型株への短期資金集中という需給要因によるものです。時価総額わずか20億円程度の超小型株に、2026年1月上旬から短期筋が殺到しました。

タイムライン

  • 1/5:ストップ高で寄り付き、東証スタンダード市場で注目銘柄に
  • 1/8:「日々公表銘柄」指定 ― 売買過熱の公式シグナル
  • 1/16:信用取引規制発動 ― 委託保証金率30%→50%へ引き上げ、日証金による増担保金50%徴収
  • 1/30:第三者割当増資を発表(1株103円で1,941,748株、約2億円調達)

数値で見る過熱感

出来高の推移が需給逼迫を如実に示しています。

  • 2025年12月30日:687,900株
  • 2026年1月13日:20,909,200株(約30倍)
  • 2026年1月15日:16,957,700株

リスク要因

  • 業績上方修正など明確な材料がありません
  • 信用規制により新規買いが制限される環境です
  • 第三者割当増資による希薄化(発行済株式数の約8.7%増加)が発生します
  • 発行価額103円は1/30前営業日終値302円の約34%と大幅ディスカウントとなっています

2.2 岡本硝子(7746)― 164.60%上昇

上昇要因の核心:国家プロジェクト参画とレアアーステーマ

岡本硝子の急騰は、南鳥島沖レアアース泥採泥試験という国家プロジェクトへの参画が最大の材料となりました。

核心材料

1/9会社発表:深海用環境モニタリング探査機「江戸っ子1号」が、2026年1〜2月に南鳥島沖で実施される世界初のレアアース泥採泥試験において海洋環境影響評価のモニタリングシステムとして使用されることを公表しました。

プロジェクト詳細

  • 内閣府主導の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の枠組みです
  • 日本の排他的経済水域である南鳥島沖、水深6,000メートルでの作業となります
  • 海洋研究開発機構保有の観測船「ちきゅう」に新規製作のCOEDO 13インチ6,000m仕様機4台を艤装しています
  • 1/11出航予定でした

追加材料

1/14発表:窒化アルミニウム放熱基板の初期材料評価合格(ただし会社は業績影響は軽微と説明しています)

市場の反応

  • 1/14に出来高1,000万株超、前日比+60%超の急騰となりました
  • 2営業日連続で特定条件に該当し、東証がストップ高上限を1,001円に拡大しました
  • 週間騰落率+125.7%(高値1,289円、安値401円、終値950円)を記録しました

テーマ性の背景

レアアースはEVモーターやスマホなどに使われ、供給網の不安が意識されやすい戦略物資です。「国内で確保できる可能性」に関わるニュースは市場で強く反応されやすい傾向があります。ただし、今回の試掘は商業採掘(2030年予定)に向けた調査段階である点は冷静に見極める必要があります。


2.3 窪田製薬ホールディングス(4596)― 130.95%上昇

上昇要因の核心:ARデバイスの海外展開と希薄化懸念の後退

窪田製薬の上昇は、メガネ型ARデバイス「Kubota Glass」の中国市場展開新株予約権の大量行使による希薄化懸念後退が主要因です。

主要材料

2025年11月27日発表:中国・武漢昌久視康医療器械有限公司と販売特約店契約及び売買契約を締結しました。

  • 製品:遠くを見ている映像環境を再現するメガネ型AR(拡張現実)デバイス「Kubota Glass」
  • 契約内容:販売地域制限のない非独占販売権を付与
  • 相手先:眼科・視力関連分野に特化した医療機器やコンタクトレンズを取り扱うディストリビューター

2025年9月発表:2024年9月5日に発行した新株予約権のうち、5万6,238個(発行総数の40.17%)が行使され、562万3,800株が交付されました。

  • 未行使の新株予約権は3万0,686個に減少しています
  • 大量行使により将来の株式価値の希薄化懸念が後退しました

市場の反応

  • 2026年1月28日に出来高が2,250万株超に急増しました
  • 浮動株に対して非常に高い回転率で取引されています
  • 2025年後半から窪田良氏(創業者)による買い増しも株主構成変化として注目されています

業績状況

  • 過去12四半期は赤字が続いていますが、売上高は前年同期比で増加に転じています
  • EPSは前年同期比でマイナス幅の縮小が見られます
  • 自己資本比率は高水準で推移しています

2.4 VALUENEX(4422)― 124.11%上昇

上昇要因の核心:防衛省契約獲得と株式分割の好材料

VALUENEXの上昇は、航空自衛隊からの契約受注1対3株式分割の発表という2つの好材料が重なったことが要因です。

主要材料

1/29発表:航空自衛隊が公募した「イノベーション活動に必要な技術情報収集及び解析役務1式」を落札し、契約を締結しました。

  • 契約金額:3,025万円
  • 背景:防衛省関連機関向けに技術情報解析業務を継続的に受託してきた実績を評価されました
  • 選定方法:一般競争入札により選定されています

1/7発表:株式分割の実施を発表しました。

  • 分割比率:1株を3株に分割(1対3)
  • 基準日:2026年1月31日(実質的には1/30が最終株主名簿記載日)
  • 効力発生日:2026年2月1日
  • 目的:投資単位当たりの金額を引き下げ、投資家層の拡大を図ることです

市場の反応

  • 1/7取引終了後の株式分割発表を受け、1/8にストップ高買い気配となりました
  • 1/29の防衛省契約発表でも大幅高、1/30にはストップ高を記録しました
  • 分割前の駆け込み買い需要も発生しました

2.5 中村超硬(6166)― 120.52%上昇

上昇要因の核心:レアアース代替材料としてのゼオライトに注目

中村超硬の急騰は、中国のレアアース輸出規制強化を背景に、同社のゼオライト製品がレアアース代替材料として注目されたことが主因です。

テーマの背景

中国政府が日本に対し軍民両用物資の輸出を即時禁止すると発表し、レアアースもその対象となったことで、レアアース関連銘柄が総花的に買われる展開となりました。中村超硬は「出遅れ」として人気化しました。

事業内容とゼオライトの意義

同社は超硬合金加工などに強みを有しますが、ナノサイズのゼオライト製品の事業化に傾注しています。

ゼオライトの3つの用途

  1. レアアース・フリー蛍光体としての活用
  2. 触媒用途としてレアアース代替候補
  3. レアアース回収に際して吸着剤への利用が見込まれます

「国内ではゼオライト関連に位置付けられる銘柄として同社が関連最右翼」(中堅証券ストラテジスト)という指摘もあり、持ち前の急騰習性に火がついた格好です。

量産計画と市場の反応

ナノサイズのゼオライト量産を2025年度にも計画していると報じられています。

  • 1/16から3連続ストップ高を記録しました
  • 1/27には人工ダイヤ関連としても物色されました

好決算も追い風

1/27取引終了後に発表した決算では、2025年10〜12月期の営業利益が前年同期比74%増の2億900万円と大幅な伸びを達成しました。


2.6 ケミプロ化成(4960)― 120.34%上昇

上昇要因の核心:全固体電池材料テーマと需給主導の暴騰

ケミプロ化成の上昇は、全固体電池の材料開発という成長テーマへの期待と、需給バランスによる暴騰が組み合わさったものです。

主要材料

同社は全固体電池の発電効率向上をもたらす材料開発推進に経営資源を注いでいることが材料視されました。機関投資家とみられる大口買いに個人投資家の参戦が加わり、株価は短期間で3倍化しました。

異常な値動き

5営業日連続でストップ高(取引時間中を含めると実質5連続)という異彩人気となりました。

1/26の動き

  • 前日比+258円(+40.82%)で890円まで上昇しました
  • 一時は前日比400円高の1,032円と、通常の4倍に拡大した制限値幅の上限(ストップ高)まで到達しました
  • 1999年7月13日の上場来高値1,040円を視野に捉える水準となりました

1/27の動き

  • さらに150円高の1,040円ストップ高で引けました

需給分析

この急騰は「需給バランスがもたらした部分が大きい」と分析されています。配当は2026年3月期予想で5.00円、配当利回り0.66%〜1.56%です。


2.7 ユニチカ(3103)― 117.65%上昇

上昇要因の核心:クアルコムの半導体材料供給先として市場の思惑が膨らむ

ユニチカの急騰は、米半導体大手クアルコムがユニチカを訪問したという市場情報が広がり、AI半導体向け材料供給への期待が高まったことが主因です。

核心材料(ただし会社側からの正式リリースなし)

市場を巡った話

米半導体設計大手のクアルコムがAIデータセンター向け半導体への注力を標榜する中、半導体パッケージ基板のボトルネックであるハイエンドガラスクロスの在庫が払底しており、クアルコムがその供給主体としてユニチカを訪問したという話が市場を巡りました。

注目ポイント

  • 時価総額300億円強に過ぎず、「クアルコムからの資本的な提携アプローチが極めて容易」(中堅証券ストラテジスト)という指摘があります
  • 半導体パッケージ基板のボトルネックであるハイエンドガラスクロスの供給力が評価されています
  • レアアース関連の進捗期待も併存しています

市場の反応

  • 1/28前後に連日ストップ高を記録しました
  • みんかぶ調査で「買い予想数上昇」1位を記録しました(1/28時点)
  • 1/29にも「買い予想数上昇」3位にランクインしています
  • 貸株市場経由の空売りが積み上がっていたことから、踏み上げ相場に発展する可能性も指摘されています

リスク要因

会社側からのリリースはないため、思惑先行の相場である点に注意が必要です。今後も「上下にハイボラティリティな相場が続く可能性がある」との指摘があります。


2.8 第一稀元素化学工業(4082)― 106.20%上昇

上昇要因の核心:中国のレアアース輸出規制強化とレアアース代替材料への期待

第一稀元素化学工業の上昇は、中国政府による対日レアアース輸出管理強化を背景に、同社が開発したレアアースを使用しないセラミックス材料が再評価されたことが主因です。

地政学リスクの顕在化

2026年1月:中国政府が日本向けの軍民両用品目について輸出管理を強化し、レアアースもその対象となりました。

  • 中国商務省はレアアースの対日輸出規制について「民生用への影響はない」と述べていましたが、審査を厳格化したことで輸出許可が滞っている模様です
  • 調達の難しさに対処する必要性が高まり、レアアースを使用しないセラミック材を開発している同社への期待が一段と膨らんでいます

同社の強みと技術

事業基盤

  • 電材向けジルコニウム化合物の大手です
  • 自動車用排ガス触媒では圧倒的な実績を有し、グローバルニッチトップとして存在感を示しています
  • 高市政権下での経済安全保障の観点からも要衝を占める企業です

技術開発

2025年10月21日に、カルシア安定化ジルコニア材料「DURAZR-Sシリーズ、製品名:HSY-0774」を開発したと発表しました。この材料はレアアースを使用せず安定供給が可能な特長を持ちます。

市場の反応

  • 1/6に22%超上昇で一気に1,300円台後半まで駆け上がりました
  • 1/12〜1/13にもストップ高を記録しました
  • 「高市トレード」の一環として、レアアース関連銘柄全般が買われる中で同社が上昇率トップとなりました

過去IRによる下値の安心感

今回の上昇で重要なのは、同社が「IR的に空っぽの銘柄ではない」という点です。過去には業績予想の上方修正、需要回復を背景とした収益改善、事業構造の安定性に関する説明などがあり、既存IRの再評価が前提にあるテーマ上昇と整理できます。


3. 共通テーマ・傾向の分析

3.1 レアアース関連テーマの台頭

影響を受けた銘柄:岡本硝子、中村超硬、第一稀元素、ユニチカ(部分的)

背景

2026年1月、中国政府が日本向けの軍民両用品目について輸出管理を強化し、レアアースもその対象となったことが、レアアース関連銘柄全体への物色を引き起こしました。

具体的な出来事

  • 中国商務省がレアアースの対日輸出審査を厳格化しました
  • 輸出許可が滞り、調達の難しさが浮き彫りになりました
  • 南鳥島沖でのレアアース泥採泥試験探査船が1/12に出航しました

市場の反応パターン

  1. 代替材料メーカー:第一稀元素(ジルコニウム化合物)、中村超硬(ゼオライト)が急騰しました
  2. 国産レアアース開発関連:岡本硝子(深海探査技術)、三井海洋開発、いであ等が物色されました
  3. レアアース精錬・加工:東洋エンジニアリング、古河機械金属なども上昇しました

高市トレードとの関連

この動きは「高市トレード」の一環として説明されることもあります。高市政権下での経済安全保障の観点から、資源の国産化・代替材料開発に注目が集まる構図です。


3.2 需給主導の暴騰メカニズム

影響を受けた銘柄:日本精密、岡本硝子、ケミプロ化成、(窪田製薬の一部)

小型株・低位株の特性

時価総額が小さい銘柄は、わずかな資金流入で株価が急騰しやすい構造的な特徴があります。

日本精密の事例

  • 時価総額:わずか20億円程度
  • 出来高:通常68万株→2,090万株(約30倍
  • 結果:225%の上昇

岡本硝子の事例

  • 時価総額:285億円(中小型株)
  • 1/14に出来高1,000万株超、前日比+60%超
  • 「小型株特有の軽さ」が指摘されています

信用取引規制の発動

短期資金の集中が過熱すると、取引所と日本証券金融が臨時措置を発動します。

日本精密の規制事例

  1. 1/8:「日々公表銘柄」指定
  2. 1/16:信用取引規制(委託保証金率30%→50%、日証金増担保金50%)

空売り踏み上げ相場

貸株市場経由で空売りが積み上がっていた銘柄では、株価上昇により空売り筋の買い戻し(踏み上げ)が連鎖的に発生します。

ユニチカの事例

  • 「貸株市場経由の空売りが積み上がっていたことから、踏み上げ相場に発展する可能性も指摘されている」との分析があります
  • 時価総額300億円強と資金量が小さく、踏み上げが起きやすい環境でした

3.3 具体的な事業契約・技術開発

影響を受けた銘柄:岡本硝子、窪田製薬、VALUENEX

これら3銘柄は、テーマ性だけでなく具体的な契約や技術開発の発表が株価上昇の裏付けとなっている点で他と異なります。

パターン分類

国家プロジェクト参画型:岡本硝子

  • 内閣府SIP第3期の枠組み
  • 観測船「ちきゅう」に機器4台艤装
  • 具体的な出航日(1/11)まで公表

海外市場展開型:窪田製薬

  • 中国・武漢昌久視康医療器械との販売特約店契約
  • 製品:メガネ型ARデバイス「Kubota Glass」
  • 販売地域制限のない非独占販売権を付与

官公庁契約獲得型:VALUENEX

  • 航空自衛隊からの契約(契約金額3,025万円)
  • 一般競争入札により選定
  • 防衛省関連機関向けの継続受託実績を評価

株式分割の効果

VALUENEXは契約発表に加え、1対3株式分割を発表したことで、投資単位引き下げによる流動性向上期待が生まれました。分割前の駆け込み買い需要も株価を押し上げました。


3.4 半導体・AI関連テーマ

影響を受けた銘柄:ユニチカ、ケミプロ化成

ユニチカ:AIデータセンター向け材料供給

米半導体大手クアルコムがAIデータセンター向け半導体に注力する中、半導体パッケージ基板のボトルネックであるハイエンドガラスクロスの供給が焦点となりました。ユニチカがその供給主体として着目されました。

ケミプロ化成:全固体電池材料

全固体電池の発電効率向上をもたらす材料開発に経営資源を注いでいることが評価されました。AI時代のエネルギー需要増加を背景に、次世代電池材料への期待が高まっています。


4. リスク要因と投資上の注意点

4.1 業績裏付けの弱さ

8銘柄中、明確な業績上方修正を伴った銘柄は少数です。

赤字・低収益銘柄

  • 窪田製薬:営業利益予想-1,100百万円(赤字)
  • ユニチカ:PER未算出(赤字または極端に低い利益)
  • 第一稀元素:PER 56.3倍(高バリュエーション)

例外

  • 中村超硬:1/27に好決算発表(営業利益+74%)
  • 岡本硝子:1/14に初期材料評価合格(ただし業績影響は軽微と会社説明)

4.2 需給相場の反動リスク

信用規制による売買制限

日本精密では1/16から信用保証金率が引き上げられ、新規の信用買いが制限されました。需給主導で上がった局面では、「信用規制や投資家心理の変化で、短期間に上にも下にも振れやすい状態が続く」との指摘があります。

出来高減少のリスク

過熱後に出来高が減少すると、流動性が低下し値動きが荒くなるリスクがあります。

4.3 テーマ性・思惑先行の危険性

会社側のリリースなし

ユニチカのクアルコム思惑は「会社側からのリリースはないものの、これが株価を急騰させる背景となっている」と報じられています。公式発表がない場合、思惑が外れた際の下落リスクが大きくなります。

国家プロジェクトの進捗不透明性

岡本硝子の南鳥島プロジェクトは「商業採掘(2030年予定)に向けた調査段階である点は、冷静に見極める必要がある」と指摘されています。短期的な業績貢献は限定的かもしれません。

4.4 株式希薄化リスク

日本精密の第三者割当増資

1/30に発表された第三者割当増資は、発行済株式数の約8.7%増加に相当します。発行価額103円は前営業日終値302円の約34%と大幅ディスカウントであり、既存株主にとって希薄化の影響があります。

窪田製薬の新株予約権

未行使の新株予約権が3万0,686個残っており、今後さらに行使された場合、追加の希薄化が発生する可能性があります。

4.5 高ボラティリティ

急騰後の調整リスク

  • 日本精密:1/20に年初来高値399円を記録後、1/30には296円まで下落しました
  • 窪田製薬:SBI証券のシグナルでは「過去1年間で17回中11回株価が下落した売りシグナル点灯」となっています

信用倍率の高さ

  • 日本精密:信用倍率153倍(1/23時点)
  • 窪田製薬:信用倍率335.55倍(1/23時点)
  • 中村超硬:信用倍率24.94倍

信用倍率が極端に高い場合、信用買い残の整理(売り)が株価を押し下げるリスクがあります。


5. 投資判断のためのフレームワーク

今回の調査結果から、2倍株銘柄を評価する際の5つのチェックポイントを提示します。

5.1 材料の質を見極める

材料のタイプ信頼性注意点
公式IR発表岡本硝子(江戸っ子1号)、VALUENEX(防衛省契約)、窪田製薬(販売契約)業績への影響規模を確認
第三者情報ユニチカ(クアルコム訪問)会社側の確認がない場合は思惑に留まる
需給要因のみ日本精密、ケミプロ化成反動リスクが大きい

5.2 需給状況を分析する

チェック項目

  • 出来高の急増倍率(10倍以上は過熱サイン)
  • 信用倍率(30倍以上は要注意)
  • 「日々公表銘柄」指定の有無
  • 信用規制の発動状況

5.3 テーマの持続性を評価する

一過性のテーマ

  • 短期的な思惑・噂レベル
  • 具体的なタイムラインがない

持続性のあるテーマ

  • 国家プロジェクト(岡本硝子)
  • 地政学リスク(レアアース関連)
  • 構造的な需要増(AI半導体材料)

5.4 時価総額と流動性のバランス

小型株(時価総額100億円未満)

  • メリット:少額資金で大きく動く
  • デメリット:流動性リスク、暴落リスク

中型株(時価総額100億円〜500億円)

  • バランス型ですが、やはりボラティリティは高いです

5.5 業績とバリュエーションの確認

必須チェック

  • 直近の決算内容(増収増益か、赤字か)
  • PER・PBRが極端に高くないか
  • 自己資本比率(財務の健全性)

赤字企業の場合

  • 売上高の成長トレンド
  • 黒字化の見通し
  • キャッシュフローの状況

6. 結論と展望

6.1 調査結果のまとめ

2026年1月に2倍以上の株価上昇を記録した8銘柄の分析から、以下の結論が導かれます。

上昇要因の内訳

  1. 地政学リスク・テーマ性(5銘柄):中国のレアアース輸出規制、国産化への期待
  2. 需給主導(4銘柄):小型株への短期資金集中、信用規制発動
  3. 具体的な契約・技術(3銘柄):国家プロジェクト、防衛省契約、海外販売契約

共通特性

  • 時価総額34億円〜568億円の小型・中小型株
  • 出来高が通常の10倍〜30倍に急増
  • 複数回のストップ高を記録
  • PERが極端に高いか赤字企業も含まれる

6.2 2026年以降の展望

レアアース関連の継続性

中国の輸出規制は一時的な措置ではなく、構造的な問題です。2030年の商業採掘開始に向けて、南鳥島プロジェクトは継続的な注目テーマとなる可能性があります。代替材料メーカーへの注目も続くでしょう。

AI・半導体材料需要

クアルコムのAIデータセンター戦略、全固体電池の開発競争など、構造的な需要増が見込まれる分野では、材料メーカーへの期待が継続する見通しです。

防衛関連の注目度上昇

VALUENEXの事例が示すように、防衛省関連の契約獲得は株価の大きな材料となります。高市政権下での防衛費増額方針を背景に、防衛関連銘柄への注目は続くと予想されます。

需給相場の再発リスク

小型株への短期資金集中は繰り返し発生する現象です。信用規制が解除された後、再び同様の需給相場が発生する可能性があります。投資家は常に出来高と信用取引状況をモニタリングする必要があります。


著者プロフィール

後藤敏仁(ごとう・としひと)
FiNX株式会社 代表取締役

金融市場分析とIR戦略を専門とし、特に時価総額1000億円未満の小型株・中小型株のIRコミュニケーションに強みを持つ。機関投資家とIR担当者の双方の視点から、市場が「何に反応するのか」を分析し、実践的なIR戦略の構築を支援している。


免責事項

本レポートは情報提供のみを目的としており、投資の推奨や助言を意図したものではありません。投資判断は自己責任でお願いいたします。株式投資には価格変動リスク、流動性リスク、信用リスク等があり、元本が保証されるものではありません。

本レポートに記載された情報は、公開情報および各種報道に基づいて作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。


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