【2026年版】1年で時価総額が2倍以上に上昇した10社の”仕掛け”を全解剖

【2026年版】1年で時価総額が2倍以上に上昇した10社の仕掛けを全解剖

弊社では、毎月月初に株価が大きく上昇した企業を調査しています。株価が大きく上昇した企業がどのようなコーポレート戦略を経て時価総額が上昇したのか、そこから学べることは何なのかを常に考えています。今回は、2025年の1年間で、時価総額が2倍以上に上昇した10社を取り上げ、各社が実施した「仕掛け」について解説します。

  • リサーチ期間:2025年1月月初を起点に12月末の段階の時価総額と比較
  • 対象企業:時価総額1,000億以下(12月末時点)

株価が3倍、5倍、中には10倍以上に跳ね上がった企業たち。彼らは何をやったのか。単に決算が良かっただけではありません。市場を動かしたのは、「この会社は、次の10年をどう生きるのか」という問いへの、明確な回答でした。

2025年、時価総額を大きく伸ばした10社の「仕掛け」を、騰落率ランキング形式で読み解きます。

【騰落率ランキング】時価総額上昇率トップ10

順位企業名証券コード騰落率時価総額PER(予)売上高(予)営業利益(予)営業利益率(実)
1S・サイエンス5721+1,133%453億円7億円▲2億円▲46.06%
2イオレ2334+778%150億円92.5倍122億円1.6億円▲0.56%
3コンヴァノ6574+457%570億円14.5倍149億円59億円4.17%
4Bitcoin Japan8105+443%135億円32億円▲2億円▲11.46%
5かわでん6648+387%530億円15.5倍268億円40億円10.69%
6レナサイエンス4889+377%183億円1.3億円▲3.8億円▲134.85%
7大黒屋HD6993+363%785億円104億円▲6億円▲8.84%
8MDV3902+330%675億円236.7倍68億円4.9億円0.05%
9免疫生物研究所4570+311%176億円66.6倍10億円2.4億円21.57%
10リネットJPN3556+294%146億円20.9倍150億円10億円2.89%

【注目ポイント】赤字企業が上位を独占した理由

このランキングを見て気づくことがあります。上位4社のうち3社は、営業赤字です。

S・サイエンス、Bitcoin Japan、大黒屋——いずれも営業利益はマイナス。それでも株価は4倍、5倍、10倍超と跳ね上がりました。

一方、営業利益率21.57%というリスト内最高の収益性を誇る免疫生物研究所は第9位。堅実に40億円の営業利益を出しているかわでんも5位にとどまっています。

この事実が示しているのは明確です。2025年の株式市場は、「今の利益」ではなく「未来への賭け」に値段をつけたということです。

【個社解説】10社は何をやったのか

第1位:エス・サイエンス【5721】騰落率 +1,133%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:453億円
  • 営業利益:▲2億円
  • 営業利益率:▲46.06%

仕掛け:ビットコイン投資枠「96億円」という覚悟

2025年の値上がり率ナンバーワン。ニッケル精錬と不動産を手がけていた同社が、暗号資産事業への本格参入を宣言しました。

当初は調達資金の全額(約66億円)をビットコイン購入に充てると発表。その後、投資枠を最大96億円へと拡大する方針を打ち出しました。インフレヘッジや資産防衛の観点から、ビットコインを「デジタルゴールド」として保有するという財務戦略です。

営業利益は▲2億円。本業は赤字です。しかし市場は、その「覚悟」に453億円の時価総額をつけました。暗号資産・コインテーブル関連テーマとして年間値上がり率首位に。

第2位:イオレ【2334】騰落率 +778%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:150億円
  • PER:92.5倍
  • 営業利益:1.6億円
  • 営業利益率:▲0.56%

仕掛け:「AI×クリプト」の二刀流

広告事業が主力だった同社が選んだのは、暗号資産事業とAIデータセンターの同時参入という攻めの戦略でした。

デジタルダイナミック社と連携し、鹿児島県薩摩川内市に「分散型AIデータセンター」を建設する計画を発表。NVIDIAの次世代規格「GB300 NVL72」対応の液冷システムを採用するという、極めて具体的な青写真を示しました。

さらに、暗号資産事業に関するIRも継続的に発信し、暗号資産レンディング事業への展開も視野に。

営業利益は1.6億円とわずかながら黒字化。しかしPERは92.5倍と、市場は「今の利益」ではなく「将来の成長」を買っています。

「AI」と「クリプト」——2025年の二大テーマを両取りする成長ストーリーが、複数回のストップ高を演出しました。

第3位:コンヴァノ【6574】騰落率 +457%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:570億円
  • PER:14.5倍
  • 営業利益:59億円
  • 営業利益率:4.17%

仕掛け:BTC財務戦略から本業急成長への「二段ロケット」

ネイルサロン「ファストネイル」を運営する同社は、10社の中で最もバランスの取れた成長を遂げました。

第1フェーズは、中期経営計画「補完コード2029」の発表。ビットコインを財務戦略の最重要資産と位置づけ、時価総額KPIと連動させるという大胆な方針を掲げました。

第2フェーズは、その後の軌道修正です。BTC市況への過度な依存を見直し、AIコンサルティングとヘルスケア(糸リフト事業)という本業の成長に軸足を戻す戦略へシフト。この判断が功を奏し、通期業績予想を上方修正(売上収益+21%)。

結果、営業利益59億円、PER14.5倍という数字を実現。上位陣が「夢」で買われる中、同社は「夢と実力」の両方で評価されています。

第4位:Bitcoin Japan(旧:堀田丸正)【8105】騰落率 +443%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:135億円
  • 営業利益:▲2億円
  • 営業利益率:▲11.46%

仕掛け:社名を変えた。会社の意味も変えた。

2025年11月11日、老舗繊維商社が社名を「Bitcoin Japan株式会社」に変更しました。これは単なる看板の架け替えではありません。

ビットコイン・トレジャリー事業(投資・保有・運用)を新規事業として本格始動。RIZAPグループとの資本提携を解消し、発行可能株式総数を約4倍に増加させるなど、暗号資産を軸とした金融サービスへの転換を鮮明にしました。

営業利益は▲2億円の赤字。売上高も32億円と小粒です。しかし「何を売る会社か」ではなく「何を持つ会社か」という転換が、「日本版ビットコイン関連株」として物色される契機となりました。

第5位:かわでん【6648】騰落率 +387%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:530億円
  • PER:15.5倍
  • 営業利益:40億円
  • 営業利益率:10.69%

仕掛け:次世代インフラ関連という「テーマ入り」+本業の実力

配電盤メーカーの同社は、テーマ株としての期待と本業の実力を兼ね備えた銘柄です。

暗号資産やデータセンターなど次世代インフラ関連としてテーマ株に組み込まれ、短期資金が集中。しかし、他のテーマ株と決定的に違うのは、営業利益40億円、営業利益率10.69%という堅実な数字を持っていること。

PER15.5倍は、ランキング内では割安な水準。製造業で10%超の営業利益率は、それ自体が「仕掛け」です。派手さはなくとも、本業で稼ぐ力を証明し続けることが、最も確実な株価対策であることを示しています。

第6位:レナサイエンス【4889】騰落率 +377%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:183億円
  • 営業利益:▲3.8億円
  • 営業利益率:▲134.85%

仕掛け:思惑先行——「何かやるかもしれない」期待

バイオベンチャーの同社は、営業利益率▲134.85%というリスト内で最も深い赤字を抱えています。

売上高もわずか1.3億円。それでも時価総額は183億円に達しました。暗号資産やAI周辺事業への参入・提携などの思惑が断続的に材料視され、低位材料株として物色されたためです。

バイオベンチャーに対する市場の評価は、足元の業績ではなく、パイプライン(開発中の新薬候補)の将来価値で決まります。赤字でも株価が跳ねる——これはバイオセクター特有の「仕掛け」です。

第7位:大黒屋ホールディングス【6993】騰落率 +363%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:785億円
  • 営業利益:▲6億円
  • 営業利益率:▲8.84%

仕掛け:危機からの逆転——SBI提携+「リユース×AI」戦略

ブランド買取大手の同社は、財務制限条項への抵触という経営危機に直面していました。

この窮地を救ったのが、SBIグループ系ファンド「キーストーン・パートナース」との資本業務提携です。第三者割当増資により資金繰り不安が解消。

さらに4期ぶりの営業黒字化を目指す方針と、「リユース×AI」によるダイナミックプライシングという成長戦略を同時に提示しました。

営業利益は依然▲6億円の赤字。しかし市場は、復活ストーリーに785億円の時価総額をつけました。危機が変革のきっかけとなった事例です。

第8位:MDV(メディカル・データ・ビジョン)【3902】騰落率 +330%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:675億円
  • PER:236.7倍
  • 営業利益:4.9億円
  • 営業利益率:0.05%

仕掛け:日本生命のTOB——外部が認めた「3倍の価値」

同社の株価上昇は、自社の発表ではなく、日本生命によるTOB(株式公開買付け)が引き金でした。

2025年12月15日、日本生命が同社を完全子会社化することを目的にTOBを開始。買付価格は1株1,693円で、発表前株価の約3倍という高いプレミアムが上乗せされました。

PER236.7倍という数字は、現在の利益水準では説明がつきません。しかし日本生命は、医療データ解析ビジネスの将来価値にその価格をつけた。外部が認めた評価が、そのまま株価になった事例です。

第9位:免疫生物研究所【4570】騰落率 +311%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:176億円
  • PER:66.6倍
  • 営業利益:2.4億円
  • 営業利益率:21.57%

仕掛け:米国特許取得+最高収益性+踏み上げの三重奏

抗体試薬・ELISAキットを手がけるバイオ企業の同社は、営業利益率21.57%というリスト内最高の収益性を誇ります。

抗HIV関連の米国特許取得という好材料を背景に、4日間連続のストップ高という異彩高を記録。空売り残高が多い中で材料が出たことで、踏み上げ(ショートスクイーズ)も発生し、上昇に拍車がかかりました。

「材料×高収益×需給」の三重奏が、株価3倍超という結果をもたらした事例です。

第10位:リネットジャパングループ【3556】騰落率 +294%

画像引用元:Yahoo!ファイナンス(2026年1月16日時点)

  • 時価総額:146億円
  • PER:20.9倍
    営業利益:10億円
  • 営業利益率:2.89%

仕掛け:「出遅れグロース」という再発見

小型家電リサイクル事業を手がける同社は、ランキング内で最も「まっとうな」評価を受けています。

営業利益10億円、PER20.9倍。派手なテーマ株ではなく、NISAや個人投資家向けメディアで「出遅れグロース株」として取り上げられたことが追い風に。時価総額は約4倍に拡大しました。

「見つけられていなかった価値」が発見されたとき、株価は動く。IR戦略において、自社の魅力を正しく伝え続けることの重要性を示す事例です。

10社から見える「3つの法則」

法則該当企業ポイント
テーマへの”全振り”宣言S・サイエンス、Bitcoin Japan、イオレ96億円投資、社名変更、AI×クリプトなど「覚悟」を示した企業が上位
本業の「収益サプライズ」コンヴァノ、かわでん、免疫生物夢だけでなく「実力」を数字で証明した企業も高評価
外部からの”お墨付き”MDV、大黒屋TOBや資本提携という「第三者の評価」が株価を直接押し上げ

経営者・IR担当者への問い

1,133%、778%、457%——これらの数字を叩き出した企業の多くは、営業赤字です。しかし、市場は彼らに数百億円の時価総額をつけました。

なぜか?

「この会社は、何者になろうとしているのか」その問いに対する明確なメッセージを、市場に発信できたからです。

投資家が本当に知りたいのは、業績の結果報告ではありません。「あなたの会社は、5年後にどんな姿でいるつもりなのか」——その答えを、市場は待っています。

株価は、業績だけでは動かない時代になりました。“仕掛け”を持つ企業だけが、10倍になれる——2025年の株式市場が教えてくれた、一つの真実です。

※本記事は2025年の市場動向に基づく分析です。個別銘柄の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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